2024年

RITA税理士法人から関与先の皆さまへ毎月お届けする「事務所便り」です。

5月

    

 前略 今年の4月は記録的に気温が高くなり、桜の花も各地で既に満開、まさに春真っ盛りの今日この頃です。皆様におかれましては益々ご清栄のこととお喜び申し上げます。

 さてそんな中、国税庁ではかねてから税務行政のデジタル化を、強力に推し進めているところですが、その中の一つとして、令和6年5月以降に送付分より、税金を納める際に使用する「納付書」を、一定の法人・個人について、事前送付を取りやめることとしております。事前送付が行われなくなる者は、①e-Taxにより申告書を提出している法人。②e-Taxによる申告書の提出が義務化されている法人。③e-Taxで「予定納税額の通知書」を希望する個人。④ダイレクト納付(e-Taxよる口座振替)・振替納税・インターネットバンキング等による納付・クレジットカード納付・スマホアプリ納付・コンビニ納付(QRコード))により納付をしている法人及び個人が対象となります。なお上記①~④以外の者で、税務署から送付された納付書で納付している者など、納付書を必要とされる者に対しては、引き続き納付書が送付される予定です。また「源泉所得税の徴収高計算書」や「消費税の中間申告書兼納付書」については、引き続き送付される予定となっております。

 今や法人税申告のe-Tax利用率は、9割を超えていますので、令和6年4月決算法人からは、ほとんどの法人には納付書は送付されないこととなります。どうしても納付書を使って納付したい場合は、事前に所轄税務署へ、その旨を連絡して納付書を入手する必要があります。

 国税庁としては、納付書送付の取りやめについて「社会全体の効率化」と「行政コストの削減」の観点からキャッシュレス納付を推進しているとのことでありますが、現在利用可能なキャッシュレス納付方法としては、「ダイレクト納付」、「振替納税」、「インターネットバンキングによる納付」「クレジットカード納付」、「スマホアプリ納付」「コンビニ納付」が用意されておりますが、いずれも使い勝手が悪いと感じます。ダイレクト納付は、法人は利用開始届は書面提出のみしか認められておらず、利用開始までに1ヶ月以上かかっています。クレジットカード納付はインターネット上のみの手続であり、金融機関や税務署の窓口では納付はできませんし、決済手数料がかかります。スマホアプリ納付は、税額30万円までしか利用できない等々・・・。税務行政のDX化の大きな目的の一つは、「納税者の利便性の向上」だったはず。いたずらにDXを急ぐのではなく、事業者の目線で考えた穏やかなDX化を期待しているところです。

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4月

    

 前略 日ごと春らしさが増し、一気に雪解けが進んでいる今日この頃ですが、皆様におかれましては益々ご清栄のこととお慶び申し上げます。

 そんな中この度、国土交通省より2024年の土地公示価格が発表されました。全用途にて3年連続の上昇、バブル以降33年ぶりの高い伸び率となっております。生活用品、燃料等の物価高、史上最高値をつけた日経平均株価高、賃金の上昇圧力に続き、ついに土地の値段も上昇気流に乗ってしまった感があります。特に上昇が目立つのは北海道や九州です。インバウンドや半導体工場等の影響が大きく、富良野市が住宅地の上昇率全国1位、千歳市が2位と4位で、トップ10中に7カ所も北海道が入ってます。恵庭市や北広島市も全国上位に入っており、やはりラピダスの影響は相当大きいようですね。

 ところで、国や自治体が公表する土地の値段(地価)には様々ありまして、混乱しやすいので整理しておきますと、①まず今回発表された「公示価格」は、国土交通省が、毎年1月1日時点の地価を、不動産鑑定士の評価を基にして、3月下旬に公表するもので、「一般的な取引価格」の基準・目安となります。②次に「固定資産税評価額」については市区町村が1月1日時点の地価を3年ごとに改定し、毎年4月に公表するもので、固定資産税や不動産取得税の算定の基礎となるもので、公示価格の70%程度の価格となっております。③「路線価」については、国税庁が、道路に面する標準的な宅地の1㎡当たりの毎年1月1日時点の地価を7月に公表するもので、相続税や贈与税の算定の基礎となるもので、公示価格の80%程度の価格となっております。④「基準地価」は都道府県が、毎年7月1日時点の地価を、不動産鑑定士の評価を基に9月下旬に公表するもので、これも公示価格と同様に「一般的な取引価格」「時価」に近い価格となります。

 このように、いずれも公的機関が公表する土地の値段ですが、その公表時期も価格も目的も様々ですので、注意しつつ活用していただきたいと思います。

  さて4月です。新しい年度を迎えます。物価はさらに上がっていく気配です。脱デフレは転機を迎えることができるのか、金利は上昇していくのか、円相場はどうなっていくか、株価はさらに上昇するのか・・・・等々、世の中の流れは益々早く激しく、中々先を読みずらい状況ではありますが、思い悩んでいてもしょうがないですよね。一つ一つ着実に手を打って行きたいと考えております。いろいろと新しい制度も始まり、新しい人との出会いや、新しい力も生まれる時期です。新たな気持ちでスタートダッシュを決めて行きたいと考えているところです。

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3月

    

 前略 今年の冬は寒暖の差が激しく、寒い日が続いたり、2月に暖気が入り込み、札幌で観測史上最高の13・9度を記録したり、3月には又冷え込んだり、春はまだまだ遠いと感じる今日この頃です。皆様におかれましては益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 さてそんな中、昨年末に成立した令和6年税制改正のうち、岸田政権の政策の超目玉として注目を集めているのが「令和6年分の所得税・住民税の定額減税」であります。

簡単に言うと、納税者と配偶者及び扶養親族一人につき4万円の減税をし、住民税の非課税世帯等に対しては一世帯あたり10万円の給付(18歳以下の子がある場合一人当たり5万円を加算)をするという制度ですが、手続きの詳細を見てみると、中小事業者にとってはかなりの事務負担を強いられる制度となっております。概要を見てみると、まず対象者は令和6年分の合計所得金額が1805万円以下の居住者で、本人及び同一生計配偶者・扶養親族について、一人当たり所得税3万円、住民税1万円が減額されます。4人家族で要件満たせば16万円が減税となります。実施時期は、令和6年6月に支給する給与の所得税から減税を開始します。控除しきれない金額は7月分以降で順次控除していき、最終的には年末調整で精算されます。事業所得者や不動産所得者等は、7月及び11月の予定納税額から控除し、最終的には確定申告で精算されます。個人住民税については、特別徴収の場合は、6月分の徴収は0円とし、減税後の年税額を11ヶ月で除して、7月以降11回で特別徴収していきます。普通徴収の者は、減税後の納付書が来ますのでそれを納付するだけでOK、ということですが、実際の減税事務は相当煩雑になってきます。

 ①まずは控除対象者の把握をしなくてはなりません。一定の配偶者・15歳以下の扶養者等いる場合は、6月までに「源泉徴収にかかる申告書」の提出を受ける必要があります。②各人別控除事績簿作成、③月次減税額の計算、④給与支給時の控除、⑤給与明細に減税額を記入、⑥源泉所得税納付書にも一定の事項を記入する等など・・・・。 また問題なのは、適用の可否の判定は、令和6年の所得です。令和6年の所得が確定するのは12月以降ですが、減税は6月から前倒しで推計で実施していきますので、所得確定後に大幅な修正が生じるケースが出てくると予想できます。その他現時点では、まだ詳細情報が少ない状況ですので、今後判明次第お知らせさせていただきたいと思います。

ご不明点等は、RITA税理士法人までお問い合わせください。       

                                                                                                                                  草 々



2月

   前略 厳寒の候 皆様におかれましては、益々ご健勝のこととお慶び申し上げます。

 今年の冬は穏やかと思いきや、1月は降雪量が急増し、大きな雪山ができております。毎日の雪かきと道路の大渋滞でうんざりされている方も多いのではないでしょうか。

 さてそんな中、令和6年1月より様々な新税制が施行されておりますが、その中でも特に注目したいのが贈与税の改正です。「生前贈与」は相続税対策等としても当たり前の節税対策の一つですが、一定額以上の財産を贈与すると贈与税が課税されます。課税方法は、「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2つあり選択適用できますが、選択により納税額は大きく変わります。そこで今回は制度の内容をごく大まか説明したいと思います。まず従来の「暦年課税制度」は1年間110万円の基礎控除があり、数年にわたる贈与を繰り返すことで相当の相続税の節税が可能。しかし相続開始前3年以内の贈与財産については、相続財産に加算(生前贈与加算)される制度でした。一方「相続時精算課税制度」の方は、特別控除額2500万円を超える部分に一律20%の贈与税が一旦課税され、実際に相続発生の時点で、その贈与財産を相続財産に加算し直して相続税が課税されるという制度で、110万円の基礎控除はないのであまり節税にはならない制度です。そしてこの両制度について、令和6年1月から大きく改正されております。

 まず「暦年課税制度」は生前贈与加算期間が3年から7年に大幅伸びております。一方「相続時精算課税制度」の方は、新たに110万円の基礎控除が創設されました。細かい適用要件はさておき「相続時精算課税制度」が格段に使いやすくなった改正です。

 医学の進歩や健康増進の取り組みなどで、日本人の平均寿命は益々伸びており、65歳以上の人口の割合は30%近くになっておりますが、一方で判断力が低下してしまった高齢者の急増も懸念されているところです。日本国民全体の持つ個人金融資産は約2000兆円、その内65歳以上の高齢者の保有する個人金融資産は、約50%の1000兆円、75歳以上の人が600兆円、また認知症高齢者が保有する資産は約300兆円ともいわれております。日本は年寄りが金持ちで若者が貧乏という構図となっているようです。

 新制度を活用して、判断能力が確かなうちに、計画的に上手に次世代へ、財産を承継していただきたいと思います。財産承継・贈与税・相続税対策については、RITA税理士法人へお問い合わせください。

                                                                    草 々


1月

    新年明けましておめでとうございます

いよいよ令和6年の幕が開けました。皆様におかれましては、健やかなる新春をお迎えのこととお慶び申し上げます。

 今年の年明けは雪も少なく暖かく、穏やかなお正月を迎えたなと思っていたのも束の間、元旦の午後4時10分に石川県能登地方で最大震度7の地震が発生し、多くの家屋やビルが倒壊、火災も相次ぎました。日本海側の広範囲で東日本大震災以来となる大津波警報が発令され、道路の寸断等もあり、未だ全容がつかめないものの多大な被害・死傷者が出ている状況です。さらにこの災害に追い打ちをかけるように、2日の午後5時50分頃、羽田空港で、日本航空機と海上保安庁の航空機の衝突事故が発生し、日航機が炎上、海上保安庁機の職員に死亡者が出ております。海保機は地震の被災地支援のため物資搬送中であったとのことで、非常に痛ましい事故となってしまいました。被災地被災者の皆様には、早期に復旧することを願うと共に、心よりお見舞い申し上げます。

 2024年の日本は、大きな災難からのスタートとなってしまい、先が思いやられますが、今年を憂う前にちょっと2023年を振り返ってみますと、毎年末の風物詩とも言える「日本漢字能力検定協会」が発表する2023年「今年の漢字」の 第1位は「税」でありました。選ばれた理由は、インボイス制度の施行や、法人税・所得税の増税、4万円の定額減税等々、「税」にまつわる話題が活発に行われたからとのことですが、2014年以来2回目の選出でもあり、何やら面白みに欠けるように感じます。一方「ユーキャン新語・流行語大賞」の方は「アレ」が年間大賞に選ばれました。こちらは38年ぶりの日本一を達成した阪神タイガースの岡田監督がリーグ優勝をあらわす隠語として使っていた言葉ですが、21年の「リアル二刀流/ショータイム」、22年の「村神様」に続いて、3年連続で野球関連から選ばれているということで、これまた新しさに欠けると感じます。まあそれだけ2023年の日本は平和な年だったということでしょうか。

 さてさて、2024年は一体どんな1年になるのでしょう。今年は電子帳簿保存法もいよいよ施行開始され、社会の様々な分野でDX化も益々加速していきます。相当変化の激しい一年となりそうですよね。 

 RITA税理士法人は今年も「正直」「親切」「誠心誠意」をモットーに、皆様の経営に少しでも役立つため、変化に対応しつつ、共に考え、全力で邁進する所存です。

本年もどうぞよろしくご指導ご鞭撻の程お願い申し上げます。                                                                                                                                                                                                                                                                                                                            草 々